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「数」の前に立ち尽くす学芸員(4)






 4月になって、大阪市中央区にある大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)の指定管理者が吉本興業グループになり、新たなスタートを切るという報道にふれました。
 大阪府が新たな指定管理者(2年間)を選ぶ際にポイントとなった条件は、年間入館者数40万人以上と、府からの管理運営委託料ゼロというものでした。 詳しくは、指定管理候補者の選定結果 をどうぞ。 

 この報道で、私がどうしても気になってしまったのが、<入館者数40万人以上>という数字でした。
 ワッハ上方の年間開館日は、おそらく307日程度でしょう。すると、1日平均1,300人余の来館者を集めないといけないことになります。
 実は、私たちの大阪歴史博物館の年間入館者数は40万人に届きません。2010年度でいっても、常設展示が約20万人、特別展が約10万人。あわせて約30万人。これはむろん、来館して常設展と特別展の両方を見る方は「2人」とダブルカウントしての数字です。そうしても、当館では1日あたり1,000人弱ということになります。

 そこで、改めて関西の博物館施設の入館者数を調べてみました。

 国立博物館から言いますと、2009年度ですが、京都国立博物館が約45万人、奈良国立博物館が56万人(こちらはドル箱の正倉院展があります)。従来、国立美術館のなかで最も高い数字をあげていると言われていた国立国際美術館が約96万人です。また、大阪市の設置施設では、大阪城天守閣が約125万人でした。水族館の海遊館は約221万人となっています。

 いかがですか?
 年40万人という数字は、なかなか大変なものです。京博くらい入ってもらう必要があります。もちろん、京博は年に何度も特別展を開催していてこの数字です。ワッハ上方は、そういう運営にならないでしょうから、日常ベースの来館者を増やす必要がある。そうなれば、かなり団体に来てもらわないと、この数字にはならないように思えます。
 ワッハ上方の前年度の来館者数は約5万人だそうです。一方、向かいにある劇場<なんばグランド花月(NGK)>の来場者は約80万人だといいます。NGKの入場料は4,000~4,500円、ワッハ上方は400円(団体320円)。NGKの80万人の半分近くがワッハに来てくれると目標達成です。

 実は、この部分は注目されるところなのです。
(私もコドモ時代から大好きな)吉本新喜劇や漫才・落語を見ることと、ワッハ上方という演芸博物館を見ることとが、果たして共存するのか? もし、これが共存するなら、いろんな意味で今後の博物館界も期待が持てるぞ、と。
 つまり、エンターテイメントとインフォメーションとが絶妙に融合して、一時期はやった言葉でいう“インフォテイメント”に昇華される、ということなのです。これは、私たちの間では極めて難しいことだと思われているわけですが、それが可能になるとすれば、博物館活動に新しい地平が開かれます。

 なお、ワッハ上方の再出発については、博物館施設としての本格的な活用を提言する中山市朗さんのブログ ワッハ上方は燃えているか が傾聴に値するでしょう。 


  (この項つづく)






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