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博物館と回想法






 かつて学芸員をやっていた大学の先生と話をしていたら、<回想法>という言葉が出てきました。先生は、博物館実習の担当もされているので、<博物館と回想法>について関心があるようです。

 回想法とは、高齢者が過去の思い出を想起するように働きかける心理療法だそうです。高齢者が、それまでの人生を振り返り、そのまとまりをつける効用があるといいます(専門的には「統合」というそうです)。このことが認知症対策になるということは、容易に想像がつきます。
 年配者が昔話をすることは、ともすると否定的に捉えられがちですが、そのことに積極的な意義を見出すのが回想法です。米国で、すでに1960年代にロバート・バトラー博士が提唱したものです。

 この話で思い出しました。先生と話す2、3日前、特集展示「懐かしい市電とバスのある風景」会場でのこと。
 自分は昭和8年(1933)生まれとおっしゃる男性の方が、私たちに熱心に少年時代のことを話してくださったのです。市電の散水車の写真を見て、こどもの頃、よくこれを見に行ったものだ。まかれる水のそばにいると、とても涼しかったと、昨日のことのように語られるのです。
 まさに、これが回想法なのですね。

 先生が言われた愛知県の旧・師勝町の博物館の例。いま北名古屋市歴史民俗資料館となっています(旧・師勝町歴史民俗資料館)。
 私も、かつて視察に訪れたことがあります。“昭和日常博物館”の別名があるように、戦後の懐かしい街角復元や日常生活に用いられた資料が多数展示されています。あえていえば「三丁目の夕日」的な世界がひろがっているのです。
 この博物館で、回想法が実施されています。詳しくは、北名古屋市の地域回想法、さらには 市橋芳則学芸員の論文 をご参照ください。

 先生に、“なにか参考文献ない?”と訊ねられたので、調べてみました。このブログでも「節分の恵方巻」の専門家として登場し、かつて学芸員でもいらっしゃった岩崎竹彦さんの編著『福祉のための民俗学-回想法のススメ-』(慶友社、2008年)はどうでしょうか。

 私は、近代史を専門とする学芸員なので、<回想>というテーマは自らの仕事に大いに関係があります。かつて行った大阪の写真展や、プロ野球の展覧会、そして今回の市電とバスの展示、いずれも数十年から百年くらい前の出来事を扱うもので、<回想>できる範疇に入りますね。
 こういう展示では、見知らぬお客様同士が昔話に花を咲かせることが多いのです。意図的に回想法と言わなくても、自然にそういうことが行われるのですね。

 この課題については、これまで余り考えたことがなかったのですが、少し勉強してみる必要もあるかと思いました。






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