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F先生に会った







 仕事の帰り道、電車の中でF先生に会った。
 今の住まいに越してから、時折先生に会うようになり、もう十年が過ぎる。今日の先生は柄にもなく、模様の入った白いニット帽を被っている。
 先生は、高校三年の時の担任である。物理の先生だった。洗いざらしのジーパンをはいた三十歳位の無口な人で、クラスの女の子たちはシャイな先生をよくからかっていた。理系の苦手な私は、余り親しくなることもなく卒業した。
 だから今、電車で会っても声を掛けることはない。あれから三十年近く経ち、白髪の増えてきた私に先生も気付くことはあるまい。

 三年の何月だったか、進路相談があった。理科室に呼ばれた私は、珍しく先生と向かい合って話をした。その時、先生は、「君は国語が出来るから、英語も出来るようになるよ」と言った。中学以来英語が不得意だった私は、半信半疑に聞き流していた。しかし一年間の浪人生活を送って、英語は私の得点源になった。
 あの時先生は、「君は日本史が得意だから、将来は学芸員になるといいよ」と思っていたのだろうか。

 F先生は、今も、きっと高校の教壇で物理を教えている。



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