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学芸員実習に思う(3) ~ 学芸員の仕事、その昔 ~






≪仕事のイロハ≫

 私が新人だった頃は、先輩たちから仕事を学ぶということが日常的に行われていた気がします。

 今日担当した学芸員実習では、掛軸の扱いを行ったのですが、新米時代には、掛軸を如何に上手に巻くかを先輩に教わります。掛軸は、巻き上げていくと、いわゆる“たけのこ”になってしまう。つまり、片側に突き出して巻いてしまうのです。親指で感じをつかみながら巻いたらいいと言われても、なかなかそれができないのでした。
 いま学生さんを見ているとわかるのですが、みんな一番最初から一所懸命きつく巻いていくんですね。この真面目さが曲者。程度な緩さを持たせることも必要です。でも、若いからキッチリやろうとするんでしょうね。それが若さの特権でもあるのですが。

 資料写真を撮る訓練もしました。タングステンの照明を当てて、照度計で計って、しっかりやったつもりが、現像が上がってくると、どこかテカっている。
 ある日のこと。錦絵の複写をやるのですが、いくらファインダーをのぞいても、四角い錦絵が台形に歪んでしまう… んー、と困っていると、たまたま出入りの写真屋さんが写場に入ってきました。どうしても、ちゃんとならないんですよ。写真屋さんは代わってファインダーをのぞいて、ちょっと三脚を直したかと思ったら、それで完了。のぞいてみると、きっちりと四角い錦絵が目の前にあるのでした。

 展示室でパネルを打っていても、どうしてもピンや釘が曲がってしまう。単純なことだけれど、きっちりやるのは、とても難しい。 


≪“熱い”仕事≫

 先輩学芸員によく言われたのは、“興味・関心の幅を広く持て”ということです。
 学芸員は、自分の専門分野に限らず、いろんな資料を見たり、企画を担当したりします。そのとき、“自分はこれは嫌いだからやらない”では務まらないというのです。
 確かに、実際仕事についてみると、自分の希望にかかわらず、さまざまなことが舞い込んでくる。というより、自分の希望に添わないことの方が多いような気もします。
 それは、専門業務以外の業務もやらなければならない、という点でも同じでしょう。
 とりあえず、守備範囲は広く、が身を助けるという感じ、特定分野にだけ“熱い”のも困りものです。

 その頃、毎夏、名物行事のようにやっていたのが、土器作り教室です。
 夏休みに子どもたちを集めて、縄文土器や弥生土器みたいな土器を作ってもらうのです。
 会場は、3階の講堂でした。粘土や水を使いますから、汚れてもいいように事前にブルーシートを貼って準備をします。
 子どもと一緒にわれわれも作るのですが、案外上手にできたりして喜んだりする。

 問題は、土器焼きです。
 博物館では焼けないので、和泉市の信太山青少年野外活動センターに行って焼くのです。ここは、言ってみればキャンプ場です。キャンプファイヤーのように、材木を井げたに組んで、焚き火をやるのです。そのなかに、土器を入れてじっくり焼いていきます。
 しかし、これをやるのは真夏です。暑い日中に灼熱の炎に焼かれながら、火の番をして、土器がうまく焼けるようにする。こんな熱い経験も珍しく、若い学芸員も疲れ果てるのでした。

 それでもやっぱり、子どもたちが嬉しそうに焼き上がった土器を手にしたときは、われわれも嬉しいんですね。
 こういう熱い仕事もありました。


≪卓球台≫

 地下のフロアは南北に長いのですが、その中央に「荷解き」と呼ばれるスペースがありました。博物館の裏手がスロープになっていて、そこに通常バックでトラックを付けます。トラックから降ろした荷物を荷捌きする場所がここです。

 ここに、卓球台があったのです。

 私もここで卓球をやったことがあるのですが(そして昔はたぶん本当の卓球台だったのでしょうが)、その台は梱包された資料をほどいたり、逆に梱包したりする場所なのでした。
 いまから考えれば、なぜ卓球台でやっていたのか。単にちょうどよい大きさだったからなのか。私が入った頃から、すでに使っていたので、理由はよくわかりません。まあ、たいした理由もない気がするのですが。

 現在では、資料の梱包等には、ちゃんとした作業台を用いています。でも、その台は二つに折り畳めるタイプで、なんとなく卓球台に似ているのが不思議なのです。

 これは一例でしたが、その頃は、なにかにつけて間に合わせ、あり合わせで仕事をしていたような気もします。

 パソコンも、まだまだ普及途上で、ようやくNECのPC9800シリーズが名簿管理などに使われていました。資料写真は、プリントが厚紙のカードに貼付され、キャビネットに保管されていました。デジカメなど、もちろんなかった時代です。 

 とりとめもない懐古談でした。3回も書きましたので、このくらいでやめておくことにしましょう。





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大阪歴史博物館

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