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森浩一先生の南方熊楠賞受賞を祝す






 第22回南方熊楠賞が発表された。

 南方熊楠(みなかたくまぐす)は、紀州が生んだ博覧強記の博物学者・民俗学者。粘菌の研究、神社合祀への反対、天才的な語学力、大英博物館での騒動、昭和天皇進講で渡したキャラメル箱、南方マンダラなどなど、逸話と偉業に満ちた人生を送った。
 
 その没後50年を記念して、田辺市と南方熊楠顕彰会が創設したのが、南方熊楠賞である。人文部門と自然科学部門とを隔年で選出する。南方の研究対象だった民俗学的分野・博物学的分野の研究に顕著な業績のあった研究者に贈られる。
 これまでの受賞者は、谷川健一氏、吉良龍夫氏、鶴見和子氏、四手井綱英氏、加藤九祚氏、上田正昭氏、櫻井徳太郎氏、山折哲雄氏など、錚々たる顔ぶれである。
 
 その南方熊楠賞の今年の受賞者が発表された。
 森浩一氏。考古学者であり古代学の提唱で知られる。出身は大阪で、若い頃は大阪の高校の教壇に立っておられたこともある。その後、長く京都の同志社大学で教鞭を執られた。
 
 先生の学問的歩みは、さまざまな自著に記されているので、ここには述べない。
 例えば、最近文庫にもなった『僕は考古学に鍛えられた』(ちくま文庫)はその一冊である。


   森浩一先生著作


 この著作は、たしか先生が大学を定年退職されるときに出版されたもので、私はその出版パーティー(に呼ばれたわけではないが)の会場前にしつらえられたサイン席で、あつかましくも本をいただきサインしてもらったのだった。


   森浩一先生著作


 先生の著作は多い。受賞の新聞記事によれば、一般書だけで100冊以上にのぼるという。
 思い出のある本は多いけれど、あえて一冊あげるなら、『考古学の先覚者たち』(1985年、中公文庫)をあげたい。
 この本は、前近代を中心に、いまでいう考古学(とその関連分野)に取り組んできた先人たちを、各地から拾い上げた編著書である。だから、先生の著書というには適さないのだが、こういう目配りの広さが森先生らしかった。
 そのころ、先生が言っておられたことは、「考古学ブームというけれど、それは違う。一過性のものではなく、昔から知的レベルが高くて、関心を持っていたのだ」ということである。この認識が『先覚者たち』を編ませたのだろうし、授賞理由のひとつになった市民への考古学の普及につながっていった。

 私はついに考古学を専攻しなかったが、先生から学んだことは多い。
 そのなかで最も大きなことは、学問は現地を訪れてするものだ、という態度だろう。
 先生の著作に『考古学西から東から』『古代史津々浦々』などがあるが、これはそのことを実践されたものだ。
 若いころに、それを教わったことは幸運であった。
 

 私は、高校時代に南方熊楠を読んでいた。そして、森浩一という、よく新聞やテレビに出てくる考古学者も知っていた。このふたりは、大学入学以前の私に学問へのあこがれを芽生えさせた人物であった。
 今回、奇しくもそのふたりが結びつくとは、私にとっても慶賀すべき出来事である。
 




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