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昔の調査を懐かしむ






 ここのところ、講座や見学会がつづき、準備の必要から、時間を見つけて書庫に行くことが多くなっています。

 大阪歴史博物館では、2階に「なにわ歴史塾」を設けて、みなさんに図書を閲覧いただけるようにしていますが、そこに配架している図書のほかに、上階の書庫に多数の閉架図書を所蔵しています(その多くは、2階で請求していただければ、みなさんにも閲覧いただけます)。

 私たち学芸員は、その書庫へ行って調べものをするのです。

 先日、何を調べているときだったか、書棚に「大般若経」に関する調査報告書を見つけました。ある地方自治体が20年ほど前に出したものです。
 それを見て、はっと思いました。その調査は、かつて私が参加した調査だったからです。

 その自治体では、1980年代後半から90年代前半にかけて、地域の寺社等が所蔵している大般若経を悉皆調査していました。大般若経は、1セットが600巻もある大部なものなので、調査するにも1人や2人ではできません。チームを組んで、写真を撮影する班や法量(サイズ)を測る班などに分かれて、複数日で作業します。
 いまでも、山の上の宿坊や村の公民館に泊まりながら調査したことが思い出されます。私は、いわゆる調査補助員でした。

 書棚から、報告書の第1冊を取り出しました。内容は、記号のような、門外漢には意味不明のものですが、私は真っ先に調査の経緯を記した後書きを見ました。
 そこには、実に懐かしく、いまでは会うこともできない学生時代の友人たちの名前が並んでいました。しかし、私の名前はない…
 意外の感に捉われたのですが、第2冊を見てみました。すると、そこにはちゃんと私の名前が載っていました。そう、最初の頃の調査には、私は参加していなかったのでしょう。
 友人の名前が誤植されていて、ちょっとおかしかったり、「あぁ、こういうやついたよなぁ」と思い出す名前があったり。急にタイムスリップした思いでした。

 報告書は2冊しか収められていなかったのですが、昔を懐かしむにはそれで十分でした。

 文化財の調査は、決して学問的興味を満たすだけのものではなく、貴重な品々を守り、後世に伝えていく営みです。
 そのような調査を通して、社会や文化への理解も深まりますし、何よりも、それを守ってきた寺社や地域の人びとの思いを感じ取ることができます。

 もうすぐ夏。各地でまた、若い学生たちがいろいろな調査に従事し、大切な経験を重ねることでしょう。






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